仕事で食べ物や健康の記事を書くことが多い私は、資料としていろんな食材辞典を利用します。
健康や美容の話になったとき重要となるのが、その食材に温める性質があるのか冷やす性質があるのか。薬膳では「五気」といって最も基本的な食材の性質なのですが、巷にはさまざまな考え方があります。食材によっては、説によって正反対の性質ととらえられているものが。 このあたりが、一般の方々の誤解と混乱のもとになっているような気がしてなりません。
たとえば果物。私が学んでいる中医薬膳では、りんごや柿は体を冷やすフルーツなのですが、日本には「寒い地域でとれる果物は体を温める」という説があります。
さらに混乱するのが大根。中医薬膳では大根は冷やす作用があるため、気を補いたいときは控えるべきだと教えます。特に気の虚弱な気虚体質に大根は禁忌。ごぼうもしかりです。
ところが、別の説では、大根やごぼうなどの根菜類は体を温めると…。日本人にとってはこの説のほうがなじみがあるので、一般の方は「いったいどちらを信じれば?」となってしまうのです。
こうした誤解や混乱を解決してくれるのが、現代科学にほかなりません。科学の力で、その効果が知れ渡った食材の代表はショウガです。
薬膳では、生のショウガは生姜(しょうきょう)といい、体表を温め発汗させる効果が、乾燥させたショウガは乾姜(かんきょう)といい、内臓を温める効果があるとされています。
中国に古くから伝わる分類ですが、これと同じような結果が、現代科学でも明らかになっています。
ショウガの辛味成分であるジンゲオールは、加熱したり乾燥させたりするとショウガオールに変わり、温め効果がさらに高まることが判明。これぞ「生姜」と「乾姜」の違いってことになりますよね。現代科学によって裏付けされることで、薬膳の考え方が確かなものに。今後も、さまざまな食材について、このような研究結果が報告されることに期待したいと思います。
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