昨年、上海で本場の薬膳レストランを体験しました。上海の薬膳も、日本同様、実態はいろいろ。薬膳という名前が付くレストランには、マクロビオティックのような肉抜き食を食べさせてくれる店や、おなじみの火鍋を出してくれる店などがあります。
そんな中で、私にとって印象深かったのは「百草伝奇」という店。
何が印象的かって、このメニューです。写真のように、料理名の隣に「散寒清熱」とか「平肝明目」とか、効果効能が書かれている。これ、(薬事法の規制の厳しい)日本では絶対にありえないこと。
そしてこちらは、つきだしで出てきた前菜。ナツメの甘煮や、クチナシで色づけされた山芋のレモン漬けなど、ちょっとしたものも薬膳色満載! メニューに並ぶ料理の名前を見ると、「当帰羊排」とか「蓮子百合蝦仁」とか、漢方薬の名前を冠したものがいっぱいです。
さらに、スープの種類が非常に充実していて、症状や体の調子に合わせて選べるようになっている! スープは薬膳のルーツであり、煎じ薬にも通じる料理。それを町のレストランで手軽に食べられるとは、まさに「食薬同源」なのです。
日本では、薬事法が厳しく、たとえ薬膳レストランでも薬の範疇に入るものを使ってはいけないという決まりがあります。このお店と比べてしまうと、日本の薬膳は「なんちゃって」に見えてしまう…。生薬(中薬)が手軽に購入でき、料理に使える中国の薬膳と、スーパーで買える食材だけで作る日本の薬膳とは、性質もパワーも異なるものなのかもしれません。
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