漢方薬に使う薬草の効果・効能をしっかり覚えるために、
薬草園、植物園で撮影した薬草の写真をつけてノートにしました。
補気
微温・甘・微苦
肺・脾
一身の気を旺盛に。
「大補元気」と
いわれるほど、
強い補気作用がある。
*写真は日本で栽培
のオタネニンジン。
根を育てるために、
日光に当てずに栽培。
・四君子湯
・補中益気湯
補気薬
温・甘
脾・肺
陽気を上げる「昇発」
の性質がある。出血
を止める、内臓下垂を
治療するなど。
*写真はキバナオウギ。マメ科ですくすく上に伸びるところが、
昇陽の性質にぴったり
のイメージ。
・当帰補血湯
・補中益気湯
祛風湿薬
温・辛・苦
脾・胃
停滞した湿気を
取り除き、脾胃を
健康に保つ。明目
作用もある。
*植物名はホソバ
オケラという。
・薏苡仁湯
・平胃散
補気薬
温・甘・苦
脾・胃
おなかの機能に働き、
食欲不振や下痢、むくみの症状に用いる。
*写真はオケラ。蒼朮
のホソバオケラと
ほとんど似ている。
・四君子湯
・参苓白朮散
・苓桂朮甘湯
利水滲湿薬
寒・苦
心・肺・小腸・膀胱
利尿作用がある。
小腸に働き、こもった
熱を尿と一緒に排出。
むくみや膀胱炎などの
排尿困難に。
*木通はアケビ。薬に
なるのはつる性の茎。
・導赤散
助陽薬
温・辛・甘
肝・腎
陽気を補い腎を助け
る。骨や筋を丈夫に
する精力剤。
*植物名はイカリソ
ウ。『本草綱目』に
は、蕾を食べた羊が
「一日百遍合す」と
あるほど精力増強に
いい。葉の周りに堅
い棘がある。
・二仙湯
清熱燥湿薬
寒・苦
腎・胆・膀胱
腎経の湿熱をとる。
大腸湿熱の下痢、
膀胱湿熱の排尿痛、
虚熱にも用いる。
*キハダという
ミカン科の樹木で、
樹皮の内側が黄色い。
・白頭翁湯
・黄連解毒湯
・知柏地黄丸
清熱瀉火薬
寒・苦
肺・胃・腎
肺・胃・腎の熱をとる。
虚熱にも用い、津液を
生んで渇きをとるので
糖尿病などに。
*ハナスゲという
ユリ科の植物。
・白虎湯
・大補陰丸
散寒薬
温・辛
肝・腎・脾・胃
肝経に働きかけ、
冷えを取り除く。
止痛作用に優れ、
月経痛などに◎。
香りの作用で胃寒の
食欲不振や嘔吐にも。
*フェンネルという
ハーブ。種を用いる。
・安中散
・天台烏薬丸
辛涼解表薬
微寒・苦・微辛
肝・胆・心包・三焦
少陽半表半裏に。
上昇して肝気を疏泄
するため肝鬱に用い、
肝の病にも使われる。
*柴胡は中国から
輸入されていたが、
静岡の三島で良質の
柴胡が採れた。写真
はそのミシマサイコ。
・小柴胡湯
・逍遥散
・四逆散
・補中益気湯
活血化瘀薬
温・辛・
肝・胆・心包
血と気の巡りをよくす
る「血中の気薬」。
冷えによる生理不順、
頭痛、胸痛などに。
*セリ科の植物で
香りがいい。
・四物湯
・川芎茶調散
・独活寄生湯
瀉下薬
寒・苦
脾・胃・大腸・肝・心包
実熱の便秘に用いる。
熱を取り除き解毒も
できる。
*中国の高山に自生。
日本では信州に自生
する信州大黄が発見
され、漢方便秘薬に
配合されるように。
・承気湯の類
・大黄附子湯
辛涼解表薬
涼・辛
肺・肝
発汗を促し、熱の出る
かぜを治療する。
目の充血、咽喉の
腫れ、疼痛に。
気を発散させ鬱を
取り除く。
*写真は和ハッカ。
ミントの仲間だが、
香りが強く発散作用も
強力である。
・銀翹散
・逍遥散
補血薬
温・甘・辛・苦
心・肝・脾
血を補う作用と、気血を巡らす作用を併せ持つ「血中の気薬」。血虚血滞を治す婦人科の良薬。
*薬草園で購入した苗を鉢で育成。薬になるのは根部だが、葉にも似た作用があるので、入浴剤などに使える。
・四物湯
・当帰補血湯
・十全大補湯
補気薬
平・甘
十二経
脾胃の虚弱による
無力感、食欲不振、
泥状便。肺を潤し
咳を止める。痛み
を止める作用もある。
性質の異なる薬を
配合するとき、薬力
を調和する。
*英語名はリコリス。
抗炎症成分のグリチ
ルリチンを含む。
・四君子湯
・芍薬甘草湯
清熱瀉火薬
寒・苦
心・肺・肝・胃・三焦
熱病で眠れないとき、湿熱の黄疸、膀胱炎の排尿痛などに。
*クチナシのこと。実を乾燥させて用いる。
・黄連解毒湯
・龍潭瀉肝湯
・茵蔯蒿湯
収渋薬
微温・酸・渋
肝・腎
陽気を助け、肝腎に
精気を秘蔵する。
また、血を滋養する
働きもある。老化や
長期の病気によって
元気喪失に。
*青い実が赤くなったら種子を取り除き乾燥させて用いる。
・六味地黄丸
・左帰丸
シミック八ヶ岳薬用植物園
山梨県北杜市小淵沢町にある薬用植物園。試験用にさまざまな薬用植物が栽培されています。トリカブト(附子)をはじめとする自生の薬用植物も見ることができ、漢方、中医学に興味のある人ならたっぷり楽しめる場所。入場無料。薬草見学会も開催されます。